鈴木敏夫について
たまに思い出したように「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」をまとめてPodcastで聞く。
その度に鈴木敏夫という男の魅力に惹きこまれ、自分の仕事人としての理想形はこの人なのかもしれないと思う。
おそらく、僕は鈴木さんの「知識の使い方」に惹かれている。
ラジオを聞けば分かるが、鈴木さんは好奇心の塊のような人で、「博覧強記」という言葉が相応しい。あらゆるジャンルの一線で活躍する対談相手たちと互角に渡り合う。
また、驚くのはその記憶力だ、
口癖の「忘れもしない」から始まる「宮さん」こと宮崎駿との微笑ましい(ときに凄まじい)エピソードトークは、そのまま文字起こししたら本にできるくらい細かくディティールが語られる。
そして、鈴木さんはその頭脳に詰め込んだ知識を自分の経験に引きつけて、自分の言葉として話すことができる。
小難しい話は一切なし。鈴木さんがなにかの本で読んだ内容をトークで引用するときも、いい意味で大雑把にまとめて、厳密には違うのかもしれないけれど「自分はこう解釈した」ということを堂々と話す。
生きている言葉を話す人だなぁ、物事を現場で考える人だなぁと感じる。
語り口が本当にいいのだ。借りてきた言葉を並べるだけの人間とは説得力が違う。
知識は使いこなさなければならない。
なるべく本を読むようにしているが、活字を目で追うことばかりが目的になっているような気もして、悩んでいたところだった。
鈴木さんの話を聞くたびに、自分の頭で考えなければと襟を正されるのだ。