bye2bigbrother’s blog

ドキュメンタリー作品の感想を書くブログ

タクシーとぼく

1か月ほど前の話。

 

その日は急いで取材に向かわなきゃいけなくて、建物を出てすぐ目に留まった対向車線を走るタクシーに、反射的に手を挙げてしまった。

すると、めっちゃ勢いよくUターンして、目の前に停まってくれた。

警察本部の前なのに無茶するなぁと思いながらも乗せてもらって、しばらくしたら運転手が話しかけてきた。

 

「あの、○○の記者さんですよね?」

「あっそうです」

「やっぱり。私ね、ことしの初めころに一度お伴させてもらったんですよ」

「えっそうなんですか。すみません気づかずに。よく覚えてますね。ありがとうございます」

「とても感じのいい人だったから。さっき手を挙げてるのを見て急いでいるようだったから、これは乗せてあげなきゃと思って咄嗟にハンドル切ったんですよ」

 

とても嬉しくて、名刺を渡して改めてご挨拶した。

 

僕は大嫌いな先輩がいて、彼はタクシー運転手に対する態度が悪くて他社の記者からも噂になっている。

僕たちはチケットに会社名も名前も書くのだけど、悪い印象を持たれると、他社の記者を乗せたときに「この前○○の記者を乗せたんですけど、態度が悪くて・・・」なんて愚痴をこぼされることは、実はよくある話。

その記者は、タクシーの車内で何度も電話で誰かに謝っていて、電話を切ったあと腹いせのように運転手に「わざと遠回りしている」と難癖をつけてきたそうだ。

 

だからというわけでもないが、僕は一期一会の人に対する態度にこそ、その人の本質的な性格が出ると思っていて、仕事上よくお世話になるタクシーの運転手には、いつも親切な態度を心掛けている。

 

だから、「とても感じのいい人だったから」と覚えて頂いていたことは、とても嬉しかった。

運転手さんが咄嗟にハンドルを切ったおかげで、取材にも間に合った。

 

僕はあまり精神論とか好まないのだけど、「因果応報」という仏教の教えも捨てたもんじゃないなぁと思いました。