bye2bigbrother’s blog

ドキュメンタリー作品の感想を書くブログ

第7作目 ブライアン・ハーズリンガー 監督作品『デート・ウィズ・ドリュー』

 

今回は、このブログでは初めてのコメディタッチのドキュメンタリー作品、『デート・ウィズ・ドリュー』。

まず、この作品を日本でDVD化してくれてありがとう!夢を追いかけるすべての人にオススメする傑作です!

 

デート・ウィズ・ドリュー [DVD]

デート・ウィズ・ドリュー [DVD]

 

 

本作は、日本では2006年公開の作品。

6歳の頃からハリウッド女優のドリュー・バリモアに憧れ続けていたブライアン監督が、クイズ番組で獲得した1100ドルを軍資金として、なんとかドリューとデートしようと奮闘する姿を描いたセルフ・ドキュメンタリーだ。

イムリミットは、家電量販店で購入したビデオカメラの返品期限である1か月。経費削減のための苦肉の策ではあるが、これが仕掛けとして効いていて、刻々と迫るタイムリミットにハラハラしながらブライアンを応援している自分に気づく。

 

まるで大学生が学園祭のノリでつくったような作品だが、「6次の隔たり」を地で行き次々と大物映画関係者を巻き込んでいくスケールの大きさと、目的は「ドリューとデート」というくだらなさのギャップがたまらない。

 

マチュアリズムのいいところを詰め込んだ作品だが、もしいまブライアンが20代だったら、人気YouTuberになっていたかもしれない。

2,3分の動画を量産するのではなく、これくらい腰を据えて「やってみた動画」をつくるYouTuberが出てきてもいいと思う。

 

愛すべき「さえない男」ブライアン

 

本作の最大の魅力はなんといってもブライアン監督のキャラクターだ。

イケメンに見えなくもないのにどこか垢ぬけず、喜怒哀楽の表情が豊かでとにかく目がキラキラしている。例えていうと、ジム・キャリーが演じたらハマりそうな男性だ。

 

彼がその生来の明るさと無鉄砲さで、少しでもドリュー・バリモアと繋がりのある人たちにアポを取りまくり、彼女が出演する映画の脚本家から通っているエステ店の店員にまで突撃していって本人にデートを申し込めないかと模索する。

 

特に、映画の予告編によく起用される声優がこの企画を面白がり、本作の予告編をタダで作ってもらうくだりには腹を抱えて笑った。また、自称ドリュー・バリモアと似ている人を募ってオーディションし、デートの予行練習に付き合ってもらうシーンも最高だ。

「これは法に触れるのでは!?」というきわどいシーンもあるが…それは映画を観て確認してほしい。

 

ブライアン監督、当時は映画業界で職にあぶれていたようだが、企画力は抜群である。
(ちなみに撮影と並行して就活しており、無事制作会社に就職する)

構成も1か月というタイムリミットの仕掛けが効いていて「24」的な面白さがあり、海外コメディドラマのような小気味のいいカット割りと軽快なテンポ感が楽しい。

なにか進展があるとドライブしながら歌いだすブライアンがカワイイ。

 

ぶっちゃけ、見ようによってはアイドルにガチ恋してしまう迷惑なファンそのものだが、なぜかみんなブライアンを応援してしまう。どんな大物映画関係者でも、いつのまにかブライアンのペースに巻き込まれてしまう不思議な魅力がある。

 

ハリウッドという街は、夢を追いかけるものを決して笑わないのだ。

 

ブライアンが愛したドリューはやっぱり素晴らしかった

 

最後、ブライアン監督はドリュー・バリモアとのデートに成功する。

彼女がブライアン監督と会うことを決意した理由が素晴らしい。

 

「少年の心をいつまでも忘れない。それは私のポリシーと合うわ」。

 

そのデートのブライアンは本当に楽しそうで、夢を叶えた男の充実感がみなぎっている。

デートの予行練習なんて必要なかったのでは?と思うほどすぐに打ち解けて会話は弾み、楽しい時間はあっという間に過ぎていく。

 

2人はまるで、やっと見つけた同志と出会ったかのようだった。ブライアンはクライマックスでようやく、この映画の主演女優を登場させることに成功した。

別れ際、ドリューは「いい映画にしてね」とブライアンに声をかける。それはドリューが、ブライアンを一人の優れた映画監督として認めた瞬間だった。

 

ブライアンは本当にドリューとデートしたかったのか?という問いは、この際、脇に置いておこう。

この映画は、無名の映画監督が本当に面白い映画をつくるために、ハリウッドスターの出演を口説き落とすサクセスストーリーだったのかもしれない。

 

これほど真っ直ぐに「アメリカンドリーム」を感じさせてくれる映画は、そうそうない。

しかも、これはフィクションではなくドキュメンタリーなのだ。
ドキュメンタリーでしか味わうことのできない「ミラクル」がたくさん散りばめられている。

 

やっぱり映画は僕らに夢を見させてくれるし、ドキュメンタリーは素晴らしい!